新しい時計を手に入れたときや、ふと手元を見たときに、「あれ、時計ってどっちにつけるのが正解なんだっけ?」と迷ってしまった経験はありませんか?
私も初めて高い時計を買ったとき、少し不安になってネットで検索した覚えがあります。
一般的には「左手につける」という人が圧倒的に多いですが、実はこれ、単なる多数決だけではない深い理由があるんです。さらに、女性ならではの和装文化や、左利きの方特有の悩み、就活や結婚式といった失敗できないシーンでのマナーなど、掘り下げていくと意外と奥が深いテーマなんですよね。
最近ではアップルウォッチの登場で「改札の通りやすさ」という新しい視点も加わりましたし、心理的な意味や「平和の象徴」なんていうロマンチックな話まであります。
この記事では、そんな時計をつける位置に関するあらゆる疑問や不安を、私のリサーチと経験を交えて徹底的に解説していきます。
これを読めば、もう迷うことなく、自信を持って時計を楽しめるようになるはずです。
- 男女や利き手によって変わる時計を装着する位置の基本的な考え方と理由
- 就活や結婚式、葬儀など絶対に失敗したくない場面での正しいマナーと振る舞い
- アップルウォッチユーザー必見の、改札通過や操作性を劇的に向上させるベストな位置
- 右腕に時計をつける人の深層心理や、かっこいいと言われる「平和の象徴」の由来
時計はどっちにつける?男女や利き手の基本
まずは、時計をつける位置の「基本のキ」から見ていきましょう。一般的には「利き手の逆」と言われますが、なぜそうなったのか考えたことはありますか?
実は、性別や利き手、あるいは体の構造的な視点から見ると、それぞれに理にかなった理由や歴史的な背景が隠されているんです。
ここでは、男女の違いや左利きの方の切実な事情、そして手首の痛みを防ぐためのポイントなど、知っておくとちょっと自慢できる基礎知識を深掘りしていきますね。
女性は時計をどっちの腕につけるのが正解?

女性が時計をどちらの腕につけるかについては、現代では男性と同様に「利き手と逆(多くの場合は左手)」につけるのが一般的ですし、機能面でもそれが正解と言えるでしょう。しかし、少し上の世代の方や、マナーに詳しい方の中には「女性は時計を内側に向けるもの」というイメージを持っている方もいらっしゃいます。
実はこれ、日本特有の奥ゆかしい文化が深く関係しているんです。かつて和装(着物)が普段着だった時代、女性の着物には脇の下に「身八つ口(みやつくち)」という開口部がありました。
もし時計を外側(手の甲側)につけていると、時間を確認するために脇を上げて肘を張る動作が必要になりますよね。そうすると、この身八つ口から襦袢(じゅばん)や素肌が見えてしまう恐れがあったんです。
当時の価値観では、これは非常に「はしたない」こととされていました。
そこで、脇をきゅっと締めたまま、手首をくるっと返すだけで楚々(そそ)と時間を確認できるように、文字盤を「手首の内側」に向ける習慣が生まれたと言われています。
この所作が女性らしい美しさの象徴とされ、洋装が主流になった昭和や平成の初期頃まで、女性のマナーとして広く浸透していました。
ですが、現代においては事情が少し変わってきています。最近のトレンドとして、女性用の時計も「ボーイズサイズ」と呼ばれる少し大きめのデザインが人気です。
大きな時計を内側につけてデスクワークをすると、バックルやケースが机に当たってカチカチと音が鳴ったり、キーボードが打ちにくかったりと、実用面でのデメリットが目立つようになりました。
また、海外では内側につける習慣はほとんどなく、グローバルな視点でも外側につけるのがスタンダードです。
ですので、現代においては無理に内側につける必要はありません。
むしろ、お気に入りの時計のデザインを周りに見せるという意味でも、基本的には作業の邪魔にならない「非利き手」の外側につけるスタイルで全く問題ないかなと思います。
もちろん、着物を着る機会があるときだけ、あえて内側につけて所作の美しさを演出する、なんていう使い分けができたらとても素敵ですよね。
ナースウォッチ
ちなみに、看護師さんの場合は少し事情が異なります。衛生管理(手洗いの徹底)や、患者さんを抱きかかえた際に硬い時計で傷つけないようにするため、腕時計ではなく「ナースウォッチ」を胸ポケットや腰につけるのが一般的です。
この時計、よく見ると文字盤が逆さま(天地逆)になっているんですが、これは着用者が自分の胸元の時計を持ち上げて覗き込んだときに、ちょうど正位置に見えるように工夫された設計なんですよ。
左利きは時計をどっちの手につけるべきか
左利きの方にとって、時計の位置は本当に悩ましい問題ですよね。私も友人に左利きの人がいますが、「どっちにつけても何かしら不便なんだよね」とこぼしていたのを思い出します。
というのも、世界の人口の約90%が右利きと言われているため、世の中にあるほとんどの製品、もちろん腕時計も「右利き」を中心に設計されているからです。
標準的な腕時計は、リューズ(時間調整やゼンマイを巻くためのつまみ)が時計の右側(3時位置)についています。これは、左腕に時計を装着し、器用な右手でリューズを操作することを前提とした配置です。
このため、左利きの方がセオリー通りに「利き手の逆(右腕)」に普通の時計をつけると、リューズが腕の内側(肘側)に来てしまい、左手で操作しようとすると腕をクロスさせるか、一度時計を外さなければならないという非常に扱いにくい状態になってしまいます。
では、利き手である「左腕」につければ良いかというと、今度は別の問題が発生します。利き手は筆記用具を持ったり、箸を持ったりと最も激しく動く手です。
そこに時計があると、字を書くときにバックルが紙や机に擦れて邪魔になったり、ドアノブや壁に時計をぶつけて傷つけてしまうリスクが格段に上がってしまうんです。
しかし、最近ではこの「左利きのジレンマ」を解決するための選択肢も増えてきました。左利きユーザーだからこそ享受できるメリットや、専用のモデルについて知っておくと、時計選びがもっと楽しくなるはずです。
- 右腕につけるメリット(逆転の発想):
実は、右腕に普通の時計(右リューズ)をつけることには、意外なメリットがあります。それは「リューズが手の甲に当たらない」こと。
通常、左手につけると手首を曲げたときにリューズが手の甲に食い込む「リューズバイト」という現象が起きがちですが、右腕ならリューズが肘側に来るため、この痛みから解放されるんです。 - レフトハンドモデル(Destro)の活用:
「Destro(デストロ)」と呼ばれる、リューズを左側(9時位置)に配置した左利き専用モデルも存在します。
パネライやロレックス、チューダーなどの高級ブランドからも発売されており、その希少性から右利きのコレクターにも人気があるほどです。これなら右腕につけても左手でスムーズに操作ができます。
機能性を重視して右腕につけるのが合理的だとは思いますが、操作性を取るか、装着時の快適さを取るか、あるいは「あえて左腕につけて時計を守る」か。
ご自身のライフスタイルや優先順位に合わせて、一番しっくりくるスタイルを選んでしまって良いと思います。正解は一つではありませんから。
男性が時計をどっちの腕につけるかの基準
男性の場合、ビジネスシーンでの実用性や機能美を重視して「利き手の逆(左手)」につけるのが圧倒的に多いですね。街中を見渡しても、右手に時計をしている男性は少数派ではないでしょうか。これには単なる慣習以上に、明確な機能的・合理的な理由が存在します。
まず最大の理由は「時計の保護」です。利き手というのは、私たちが思っている以上に過酷な環境にさらされています。ドアの開け閉め、重い鞄の持ち運び、とっさの動作など、無意識のうちに利き手は激しく動いています。
もし利き手に高級な機械式時計をつけていたらどうなるでしょうか?壁や家具にガツンとぶつけてケースに傷が入ったり、最悪の場合は内部のムーブメント(機械)に衝撃が伝わって故障の原因になったりします。
大切な相棒である時計を長く綺麗に使うためには、動きの少ない非利き手につけるのが最も安全なセオリーなのです。
また、デスクワークにおける効率も無視できません。右利きの場合、右手でマウスを操作し、ペンでメモを取ります。
このとき右腕に厚みのあるダイバーズウォッチや、金属製のバックルがついた時計があると、机と接触してカチカチと音が鳴り、非常に不快です。
また、バックルとデスクが擦れ合うことで、双方に細かい擦り傷がついてしまうこともあります。仕事への集中力を削がないためにも、左手装着が推奨されるわけです。
さらに、時計を装着する「高さ(位置)」についてもこだわってみましょう。実は解剖学的に見ても、時計が最も美しく、かつ快適に収まるスイートスポットがあるんです。
それは、「尺骨茎状突起(しゃっこつけいじょうとっき)」と呼ばれる、手首の外側にある出っ張った骨が基準になります。
ビジネスマンにおすすめの位置:尺骨より「肘側」
鏡の前で試してみてほしいのですが、尺骨(出っ張った骨)よりも指1本分くらい「肘側(上側)」につけるのがベストポジションです。
この位置なら手首を曲げても時計が干渉せず、可動域を全く邪魔しません。
また、スーツやジャケットの袖口に時計が半分隠れるような見え方になり、非常にスマートでプロフェッショナルな印象を与えます。
逆に、骨よりも手首側(手の甲に近い方)につけると、手首を曲げたときにリューズが手の甲に突き刺さって痛いですし、だらしない印象になりがちなので、ビジネスシーンでは避けたほうが無難です。
右腕に時計をつける人の心理と性格的な特徴

街中やテレビで、右利きなのにあえて右腕に時計をつけている人を見ると、「おっ、何かこだわりがあるのかな?」と気になったりしませんか?機能的には左手が有利なはずなのに、あえて右腕を選ぶ。その背景には、心理学的な視点やスピリチュアルな信念、あるいは独自の哲学が隠されていることが多いんです。
心理学的な分析では、右腕装着派には「自立心」や「個性の表現」を重んじる傾向があると言われています。社会的な多数派(この場合は左腕装着)に無意識に同調せず、自分の使いやすさやスタイルを貫く強さを持っている人。
悪く言えば「天邪鬼」かもしれませんが、良く言えば「自分を持っている人」です。クリエイターやアーティストにこのタイプが多いのも頷けますね。
また、深層心理の観点から見ると、右手は「行動」「攻撃」「権威」を象徴する手とされています。利き手である右手に、時間という規律の象徴である時計を置くことは、無意識のうちに「時間を支配したい」「リーダーシップを発揮したい」「自分のエネルギーを外に放出したい」という能動的な欲求の表れであるとも分析されます。
さらに、風水やスピリチュアルな世界観も興味深いです。風水では、人間の体には気の流れがあり、一般的に「左手は気(エネルギー)を受け取る手」、「右手は気を与える(放出する・現実化する)手」と考えられています。
| 装着する手 | 風水・スピリチュアル的な意味 | おすすめのシチュエーション |
|---|---|---|
| 左手(受信) | 良い運気やチャンスを取り込む。 直感力や癒やしを求める。 | 環境を変えたい時、精神的な安定を求める時。 |
| 右手(発信) | 自分の能力を現実社会で発揮する。 仕事の成功、金運をつかむ。 | プレゼン前、商談、リーダーとして振る舞う時。 |
このように、「ここ一番の勝負時」や「仕事を成功させたい」という強い意志があるときに、あえて右手に時計をつけるというゲン担ぎをする経営者の方もいらっしゃるようです。もしあなたが今、何かに挑戦しようとしているなら、思い切って時計を右手に付け替えてみるのも、気分転換になって良いかもしれませんよ。
手首の痛みを防ぐ時計をつける位置の正解
「最近、時計をしているとなんだか指先が痺れる気がする」「手首がだるい」…そんな症状を感じたことはありませんか?もし心当たりがあるなら、それは単なる疲れではなく、時計のつけ方が原因で引き起こされる「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」の予兆かもしれません。
私たちの手首の中央には、正中神経という重要な神経が通る「手根管」というトンネルがあります。特にデスクワークが多い現代人は、キーボードやマウス操作のために常に手首を机に押し付ける姿勢になりがちです。
このとき、手首の内側に時計のバックルや分厚いケースがあると、それが支点となって手根管を強く圧迫し続けてしまいます。これが神経を傷つけ、親指から薬指にかけての痺れや痛みを引き起こすのです。
特に、ファッション性を重視して大きくて重いダイバーズウォッチをつけている方や、時計が回るのが嫌でベルトをきつく締めすぎている方は、リスクが高まります。日本整形外科学会の情報によると、手根管症候群は一度発症すると治りにくい場合もあるため、日頃の予防が何より重要です。(出典:日本整形外科学会『手根管症候群』)
痛みを防ぐための3つの対策
- 指1本の余裕を持つ:
ベルトを締めすぎないことが基本中の基本です。手首とベルトの間に、小指が1本すっと入るくらいの余裕(あそび)を持たせてください。これだけで血流や神経への圧迫が劇的に緩和されます。 - PC作業中は外すかパームレストを使う:
キーボードを打つときは、思い切って時計を外してデスクに置くのが一番です。どうしても外せない場合は、手首の下に柔らかいパームレスト(リストレスト)を敷いて、バックルが直接机に当たらないように工夫しましょう。 - Switching Wrists(左右入れ替え):
毎日同じ腕につけ続けるのではなく、時々つける腕を左右入れ替えてみてください。片方の手首への負担を分散させるシンプルですが効果的な方法です。
時計は長く付き合うパートナーですから、自分の体も大切にしながら、快適な距離感で楽しんでいきましょう。
時計はどっちにつける?マナーとスマートウォッチ
ここからは、ガラッと視点を変えて、現代ならではのトピックである「スマートウォッチ」の事情や、社会人として知っておきたい冠婚葬祭などのマナーについて解説していきます。
昔ながらの常識と、新しいテクノロジーが生んだ新しい常識。この2つを理解しておけば、どんな場面でもスマートに振る舞えるはずです。
アップルウォッチはどっちの腕につけるのが便利?

Apple Watchなどのスマートウォッチが普及したことで、時計をつける位置の議論に全く新しい変数が加わりました。これまでの「時計=時間を見るもの」という定義に加え、「決済デバイス」「健康管理端末」という役割が加わったからです。
その中で最大の争点となっているのが、日本の鉄道インフラにおける「自動改札機問題」です。
皆さんもご存知の通り、日本の自動改札機のICカード読み取り部(タッチ部分)は、ほぼ例外なく「右側」に設置されています。
これは右利きの人が右手で切符や定期入れを持って通過することを想定した設計です。しかし、腕時計のセオリー通りに「左腕」にApple WatchをつけてSuicaやPASMOを使おうとすると、どうなるでしょうか?
改札を通るたびに、体を右方向にひねり、左腕を体の前でクロスさせて右側のリーダーにタッチする必要があります。
これを「クロス・ボディ」動作と呼びますが、荷物を右手に持っているときや、混雑している朝のラッシュ時には、このワンアクションが意外と大きなストレスになりますし、接触が悪くて改札を止めてしまう原因にもなりかねません。
この「改札通過の快適さ」を最優先して、右利きであってもあえて「右腕」にApple Watchをつけるというスタイルを選ぶ人が急増しているんです。
「でも、右腕につけるとデジタルの操作がしにくいんじゃない?」と不安に思う方もいるかもしれません。ですが、Apple Watchはその点も優秀です。設定アプリで「装着する手首(左/右)」と「デジタルクラウンの位置(左/右)」を自由に変更できるため、右腕につけても画面の上下が反転し、違和感なく使えるようになっています。
| 装着スタイル | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 左腕(標準スタイル) | 右手で画面操作や文字入力がしやすい。 従来の時計と同じ感覚で使える。 | 改札通過時に腕をクロスさせる必要がある。 コンビニ等の決済端末も右側にあることが多い。 |
| 右腕(改札特化スタイル) | 改札タッチがノンストップで非常にスムーズ。 マウス操作しながら通知を確認できる。 | リューズ(クラウン)操作を左手で行うのに慣れが必要。 書く動作でバンドが汚れる可能性がある。 |
さらに、裏技的な運用として、左手につける場合でもあえてデジタルクラウンを「左側(肘側)」に向ける「逆リューズ設定」もおすすめです。通常の設定だと、手をついたり手首を返したりした拍子に、手の甲がクラウンに当たってSiriが誤起動したり、音量が勝手に変わったりすることがありますよね。逆リューズにすると物理的に手が当たらないので、誤作動を完全に防ぐことができます。親指でクラウンを回す操作感も、慣れると意外と快適ですよ。
就活面接で時計をどっちの腕につけるかのマナー
就職活動において、身だしなみは第一印象を左右する極めて重要な要素です。時計に関しても、「時間を厳守する意識があるか」「自己管理ができているか」を判断するアイテムとして見られています。では、面接の場ではどのように時計を扱うのが正解なのでしょうか。
まず装着位置ですが、基本的にはメモを取る際に邪魔にならず、カチャカチャと音を立てない「左腕(非利き手)」につけるのが無難であり、鉄則です。面接中にメモを取る機会は意外と多いですし、右手に時計をつけていると、「書きにくそうだな」と面接官に余計なノイズを与えてしまう可能性があります。奇をてらわず、最もスタンダードなスタイルで臨むのが安心かなと思います。
次に時計の選び方ですが、ここは「シンプルイズベスト」を心がけてください。派手な色の文字盤、巨大なダイバーズウォッチ、ハイブランドすぎて嫌味に見える金無垢時計などは避けましょう。白か黒、シルバーの文字盤で、ベルトは黒や茶色の革、またはシンプルなステンレススチールの3針時計が最も好印象です。
そして最近よく質問されるのが「就活でスマートウォッチはありか?」という問題です。IT企業やベンチャー企業、クリエイティブ職などでは許容される傾向にありますが、金融機関や公務員、歴史あるメーカーなど、堅い業界ではまだ「カジュアルすぎる」「おもちゃっぽい」と受け取られるリスクがあります。
スマートウォッチ着用の絶対ルール
もし着用して行く場合は、面接中に通知音が鳴ったり、画面がピカッと光ったりすることがないように、必ず「通知オフ」や「シアターモード」に設定してください。話の腰を折るような通知音は、即座にマイナス評価につながります。
また、面接中に時計を見る仕草は「話に飽きている」「早く帰りたい」というサインと受け取られるため厳禁です。どうしても時間を確認したいときは、面接会場の壁時計を見るか、どうしてもという時にだけ、視線を落とす程度でさりげなく確認するようにしましょう。
結婚式や葬儀で時計をどっちの手につけるか
冠婚葬祭は、大人のマナーが最も試される場面です。ここでは「自分がおしゃれだと思うか」ではなく、「周囲に不快感を与えないか」「場にふさわしいか」という視点がすべてです。
結婚式の場合
一昔前までは、結婚式で腕時計をつけること自体が「時間を気にしている=早く帰りたがっている」と解釈され、マナー違反とされていました。しかし現代では、スマートフォンで時間を確認するよりも腕時計の方がスマートであるという認識が広まり、適切な時計であれば着用は問題ありません。
男性なら、白文字盤に黒革ベルトのシンプルなドレスウォッチが基本ですが、シルバーのメタルブレスや、派手すぎないクロノグラフ程度なら二次会も含めて許容範囲です。女性なら、ドレスの一部として機能する華奢なジュエリーウォッチや、パールがあしらわれたデザインのものを、左腕にさりげなくつけるのがエレガントです。
葬儀・お通夜の場合
一方で、葬儀は非常に厳格です。悲しみの席では、装飾品は結婚指輪以外極力つけないのが伝統的なマナーです。そのため、基本的には「時計を外してポケットやバッグに入れておく」のが最も間違いのない、丁寧な対応です。
どうしても焼香の時間の確認や、受付の手伝いなどで時計が必要な場合は、以下のルールを徹底してください。
葬儀でのNG時計リスト
- ゴールドの時計: 金色は華美であり、死を悼む場にはふさわしくありません。
- ダイヤモンドや宝石入り: 輝くものはすべてNGです。
- 派手な文字盤: 白、黒、シルバー以外は避けましょう。
- 殺生を連想させる革ベルト: クロコダイルやトカゲなど、革の模様(腑)がはっきりしたものは殺生を連想させるため嫌われます。型押しではないスムースな牛革がベストです。
- デジタル時計: カジュアルすぎる上に、静寂な式場でアラームや時報が「ピピッ」と鳴るリスクがあるため、絶対に避けるべきです。
葬儀では、時計は「見るためのもの」ではなく「隠すもの」くらいの意識で、袖口から見えないように左腕につけるよう心がけましょう。
右手の時計が平和の象徴と言われる理由

「右手に時計をつけるのは平和の象徴なんだよ」という話を、どこかで耳にしたことはありませんか?これは単なる都市伝説ではなく、ある著名人の発言から広まった素敵なエピソードです。その発信源は、木村拓哉さんだと言われています。
この話の由来は、映画やドラマの世界でも描かれる「スナイパー(狙撃手)」の習性にあります。スナイパーは、ライフルを構える際に左手で銃身を支えます。
このとき、左腕の内側に時計があると脈拍の確認ができたり、あるいは金属の反射で敵に位置がバレるのを防ぐために内側につけたりするという説があります。また、引き金を引く右手の感覚を極限まで研ぎ澄ますため、右腕には何もつけないのがセオリーだとも言われます。
これらを逆説的に捉えて、「あえて右手に時計をつける=私は引き金を引かない、銃を持たない、戦わない」という意思表示であり、それがすなわち「平和の象徴」であるという解釈が生まれたのです。
木村さんがラジオ等でこの「スナイパー論」を語ったことで、ファンの間で一気に広まり、「キムタク持ち」ならぬ「キムタク着け」として右腕に時計をするスタイルが定着しました。
実際の軍事的な運用や戦術と完全に一致するかどうかは諸説ありますが、そんな細かいことよりも、「自分は平和を愛しているから右につけるんだ」というストーリーを持って時計を身につけること自体が、とてもロマンチックでかっこいいスタイルだと私は思います。
もし誰かに「なんで右につけてるの?」と聞かれたら、このエピソードを披露してみるのも粋かもしれませんね。
結論として時計はどっちにつけるのがベストか
ここまで、機能性、健康、マナー、心理学、そしてロマンに至るまで、様々な視点から「時計の装着位置」について解説してきました。情報が多すぎて迷ってしまったかもしれませんが、最終的に時計をどっちにつけるのが正解なのでしょうか。
私の結論としては、「あなたのライフスタイルと、今一番大切にしたい優先順位次第」で決めてしまって全く問題ありません。
- 時計を傷つけたくない、作業効率を最優先したいなら:
迷わず基本の「非利き手(左腕)」を選びましょう。これが最も理にかなった選択です。 - 毎日の通勤ストレスをなくしたいなら:
右利きでも堂々と「右腕」にApple Watchをつけましょう。あの改札のスムーズさを一度体験すると、もう戻れません。 - フォーマルな場やビジネスでの信頼感を大切にするなら:
TPOに合わせて「左腕」につけ、袖口にきれいに収めるのが大人のマナーです。 - 自分らしさや個性を表現したいなら:
右腕につけるもよし、両腕につける「ダブルリスト」を楽しむもよし。ルールに縛られず、自由な発想で楽しみましょう。
「時計は左手につけるもの」という常識は、あくまで過去のスタンダードに過ぎません。これからの時代は、あなた自身が一番心地よいと感じる場所が、あなたにとっての「正解」です。ぜひ、この記事を参考に、あなたらしい時計との付き合い方を見つけてみてくださいね。
